
令和5年4月1日、〝こどもまんなか″をコンセプトに、こどもの幸福を遂行するための「こども家庭庁」が発足しました。わが国の深刻な少子化を背景に、国を挙げて子どもの福祉の増進を最優先に取り組む姿勢を内外に強く示した行政組織の改編だと考えられます。
子どもの幸せを保障するためには、大人たちが幸せでなければならず、そのためには国民の不断の努力と知恵と連帯を要します。その根底には、この国土で生き抜いてきた先人たちの文化を引き継いで研磨し、子どもたちに受け渡していかなければ、文化が消滅するという危機感があります。
ところが今、そのバトンを受け渡すべき子どもが少なくなっています。
昨年7月、国連の「将来人口推計2022」が公表されました。これによると、世界の人口は2086年をピークに減少に転じ、300年ほどでピーク時の100分の1に縮減します。一方、日本の総人口は世界に先駆けて減り続けて2100年には7,400万人に減少しますが、やがて世界が日本と同じ道をたどります。これは、人類が進歩して豊かになり、長寿化し、結婚・出産、移動などの選択の自由が増した結果のようです。この流れを見据えて人口全体を定常状態に保つためには、「縮減する社会」を受容して、今出来ること、子どもを「誰一人取り残さない」ことに、尽力していくしかありません。
私たちはその一助となる思いで、すべての子どもが健やかに成長できる社会の実現に寄与することを目的として事業を推進して参ります。
健全育成事業は、児童館・放課後児童クラブ等8施設7事業を地方自治体から託されて運営しております。
企業主導型保育事業は、子ども・子育て拠出金を負担している企業等が従業員のために保育施設を設置・運営している場合に、運営費を助成しております。
児童給食事業は、低カロリーでビタミン・カルシウム等成長の為の栄養価が高いスキムミルクを全国で要望のある保育所を始め児童福祉施設等に安価で配分しています。
児童養護施設等サポート事業は、児童養護施設を退所後大学等に進学するなど、働きながら自立援助ホームでの自立生活を始める児童と青少年に対する支援を行なっています。
その他、児童福祉関係の研修・研究等への協力事業、出版・監修事業等々の公益事業を時宜に応じて行っております。
さて、5月8日から新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行しましたが、ウィルスが消滅したわけではありません。子どもの生命の保全と健康維持のために、感染症に対する緊張感も持続させながら、日夜すべての子どもの幸せのために邁進されている方々をしっかりと支援できますよう、私ども児童育成協会も一層研鑽を積んで参ります。
鈴木一光